今年の5月に父がなくなり、今住んでいる土地と建物の名義変更(私の母名義にすること)にせまられました。つまり不動産の登記をしなくてはならなくなったわけです。そこで、まず札幌法務局に相談に行ったところ、2003年に建て替えた家がまだ未登記でした。
父親が建てた家でしたが、もう高齢でしたので、設計から建築会社や役所の手続きも全部自分がしていましたが、銀行から借り入れせずに建てたので、建物の登記が絶対必要というわけではありませんでした。ですので今回は、土地は相続登記(所有権移転登記)、建物は新築の建物の登記(建物表題登記と所有権保存登記)をしなくてはならなくなったわけです。
当初、図面描きや必要書類の取り寄せなど、面倒なことが多そうなので司法書士や行政書士さんに依頼するつもりでしたが、区役所の法律相談に行ったところ全部で30万円近くかかりそうだとのことで、何とか自分でできないか図書館に調べに行きました。
あまり古い本は、法律改正などに対応できてない場合が多いので、比較的新しい本を探していましたが「図解ですっきり 不動産登記はこうする」 古山隆著 日本実業出版 1400円 2006年2月10日発行があり、この本を参考にすることにしました。
ただ我が家の場合、建て主が未登記のまま亡くなったケースの登記になるのですが、そのケースの登記の方法は載っていません。ネットで調べても見つかりません。亡くなった人名義の建物を亡くなった人が申請者で登記できるのか、それとも相続するものが新たに登記できるのか、よく分かりません。そこで、また札幌法務局に行きました。
札幌法務局には、奥に登記相談窓口があります。担当の方は3人くらいおられますが、皆親切です。そこで、我が家のケースを聞くと、
1)土地は、所有権移転の登記(相続登記)を行う。
2)建物は、相続人が登記申請を行える。ただし、建物を立て時の建て主と登記の申請者(相続人)が異なるので、所有権移転と同じ書類が必要になる。
3)土地の所有権移転の登記と、建物の表題登記を同じタイミングで申請すれば、土地と建物の相続登記関係の書類は1部でもOK
とのことでした。戸籍謄本などは古いものは750円しますし、普通の戸籍謄本、印鑑証明や住民票なども350円や450円はします。それに相続登記の場合、埼玉にいる私の姉や、札幌市内にいる妹などと、1枚の書類作りのために封書をやりとりしなくてはならず、書類を集めるのは大変です。一応、土地の所有権移転と建物の登記が1部の書類で共有で審査してもらえるのは助かります。
ということで、必要な手続きは分かりました。法務局の窓口はいろいろ教えていただけますが、必要な書類のタイトルは言ってくれますが、それが具体的にどんなものか。そんなな書式、書き方をするのかは、いちいちその場で見本を見せてもらえませんので、やはり、自分で登記をできるかどうか判断するには、本が重要です。
また、ネットで自分で不動産登記された人のサイトやブログも拝見し、参考にさせてもらいました。それと法務局は、各種申請書の様式(フォーマット)と書き方例をネットで公開しています。これらも役に立ちますので、もし自分で登記申請を考えられる方は参考になさってください。
ちなみに、登記には申請によって登録免許税を印紙で納めなくてはなりません。私の場合、土地8万円弱、建物4万円弱でした。その他、住民票や戸籍謄本などの費用、交通費などすべて入れても15万円くらいでしたので、自分で登記申請を行えば区役所で言われた相場30万円の半額くらいで登記が可能なので助かります。
自分で登記を行う場合の、ポイントは私は2つだと思いました。1つは図面作成。もうひとつは、しぶとく必要書類を集めることです。
さて、各登記に必要な書類と、書類を作る際の私なりの工夫した点などを書いておきたいと思います。
1.土地の所有権移転登記(相続登記)
【必要書類】
1)被相続人の戸籍謄本(改正原戸籍)・・・15歳くらいからの記載のあるもの
2)被相続人の戸籍の謄本(一番最近のもの)・・被相続人が亡くなったことが記載
3)法定相続人全員の戸籍謄本
4)被相続人の住民票除票・・・死んだ人の住民票(亡くなった事が記載されている)
5)被相続人の住民票の附票・・・今までの土地の登記済書に記載されている住所と現住所が違っている場合(市や区の住所などの変更に応じて、どう住所が変更されたかがわかるものとして)、必要とのこと
6)遺産分割協議書・・・法定相続人の住所氏名印鑑
7)印鑑証明・・・遺産分割協議書に押した各人の印鑑の印鑑証明
8)相続関係説明図・・・被相続人と相続人の関係を図示したもの。各人の住所氏名続柄なども記載する
9)土地を相続する人の住民票
10)固定資産価格確認書・・・固定資産税納税通知書のコピー。これに土地や建物の価格が書かれている
11)登録免許税・・・収入印紙、固定資産価格に応じて1000分の4、百円未満切捨て、法務局でもらえる印紙を貼る用紙に貼ります。
12)所有権移転登記の申請書
ここで、大変なの亡くなった人の戸籍謄本を集めることです。私の父は25歳で札幌の遠戚の今井という夫婦の家に養子に入り、30過ぎて結婚しました。10代半ばで、札幌に出てきてはおりましたが、25歳までは空知の栗山町の実の両親の家の戸籍に入っておりました。それから養子先の親の戸籍、自分の戸籍と変遷しました。法務局に父の結婚してからの戸籍を持って行くと、養子先の親(私の祖父)の戸籍も必要と言われ、区役所に行きました。それを持参すると、今度その戸籍を見て「あらー、お父さんの実のお父さんの戸籍も必要だね。」と言いました。「お父さんの15歳くらいまでの戸籍も必要なんだよね。なぜ15歳くらいか、というと、15歳くらいから子供ができるでしょう。お父さんに他に子供がいないかを、15歳くらいまでの戸籍謄本をとることで分かるからなんですよ」と言われました。栗山町は、札幌から車で1時間強の場所でした。そのとき法務局では午後3時をまわってました。ただ、翌日は大雨の天気予報でしたので、すぐに法務局を出て栗山町に車を飛ばしました。午後4時30分頃、役所が閉まる30分前に着き、祖父の戸籍謄本を頂きました。今まで知らなかった、父の祖父の、その親の名前や生年月日も知ることができ、エキサイティングでした。
2.建物の表題登記
【必要書類】
1)確認済証・・・(建築会社に保管されていた)
2)検査済証・・・(建て主に役所から送られてきていた)
3)建築会社発行の建物引渡証明証・・・(当時は渡されていなかったので、用紙に記載して作成した)
4)建築会社の資格証明証・・・(会社の謄本:旭川の法務局で取得してもらった)
5)建築会社の印鑑証明書
6)建築会社の履歴事項全部証明書・・・建築会社の謄本が平成18年のものだったので、建てた時点(平成15年)の代表者が同じかどうか証明する書類として、法務局より要求されました。
7)建築主の住民票・・・(建て主の父が亡くなっているので、申請者の母の住民票)
8)建物図面と各階平面図・・・(B4の用紙1枚にまとめる:所定の様式がある)
9)建物の表題登記申請書
・登録免許税は、建物の保存登記の際に支払うので、表題登記では不要です。
ここで、労力がかかるのが図面の作成です。B4の横長の紙の右半分に500分の1の縮尺で建物図面を描き、左側に250分の1で各階平面図を描きます。用紙の右上には家屋番号と建物の所在の地番を書く欄があり、下部左に作成者の住所、氏名、印。下部右に申請者氏名、印の欄があります。
最初、自分で手書きで図面を描こうと思い、0.3mmのペンを2種類購入し試し描きしてみたのですが、文字が均一になっていなくて格好悪い。また、書き損じるとやり直しになるので効率が悪い。それで、なんとかパソコンとプリンターで工夫することにしました。
ただ、我が家にはA4のプリンターしかありません。そこで、しばし考えました。
ネットで図面の描き方を検索すると、どうも図面を描くための正式なB4の用紙が市販されていることがわかりました。札幌市内では市街の大丸藤井という事務用品店やコーチャンフォーという書店などで売られているとのこと。大丸藤井に行き、早速購入しました。367円で10枚用紙が入っています。
左右に10個のバインディング用の穴があいており、各階平面図、建物図面などのタイトルも書かれています。また、申請者や作成者の欄もあり、これに必要な事項だけを、位置合わせをして、プリントすると体裁良くなりそうです。
ただ、用紙がB4であることは変えられません。しばらく用紙をじっと見ていると中央上下に区切り用の1cmくらいの縦線があります。そして、販売されている用紙がほぼ半分に、きっちり折られB5サイズになっていました。
「半分に切って、後で貼り付け、コンビニでB4用紙にコピーしよう」
ふとアイディアが浮かびました。確かコンビニのコピー用紙もそんなに紙の薄さは薄くなく、質は悪くないのを知っていましたので、その方針にしました。
ただ、図面の描き方はあまり本にも詳しく載っていませんし、どこがポイントかも良く分かっていませんでした。それで法務局の相談窓口に行き、いくつかポイントを教わりました。
【図面を描くときのポイント】
1)長さの単位は小数点以下2位まで書く・・・11メートルのとき11.00mのように書く。
2)求積は小数点以下4桁まで、床面積は小数点以下2桁まで書く。
3)建物図面は500分の1の公図をベースにする。・・・公図は、該当地番、私の場合は「188番地45」を中心にと告げれば、500円で法務局でもらえます。公図は上が北で隣接する土地の区切りや地番も記載されています。
4)建物図面は、自分の土地の周りの土地の地番も記載する。
5)各階平面図は1階の2階が同じ形の場合は、1階の図面だけ描いて、
1階2階(各階同型)
とタイトルを入れればよい。
ここで、公図とはどんな図かを紹介します。
住所と、不動産などで言われる地番は異なります。例えば札幌市豊平区豊平○条○丁目□番△号が住所、地番は札幌市豊平区豊平○○○番地□□といった表記をします。公図は住所ではなく地番で記載された土地の区割りみたいなものでしょうか。
図面を描くときは、パソコンで直線の回転や文字の回転が可能な、ドロー系のソフトがあると便利です。私は5年以上前から用いているCorelDraw7を用いました。
【私の図面の描き方】
1)建築図面は、作図の基準とする道路を決め、その道路の角度合わせから行う。
・角度合わせは、一度、ある直線をプリトアウトしたあと、窓ガラスに公図と2枚を重ね、ずれをないように角度を調節します。
2)平行な線は、元の線のコピーにより直線を作り、その線を平行移動して作図する。
3)基準となる線と直角の線を作り、交わる直角の線を作図します。
4)建物の位置は、土地の各4辺からの距離を6.00mのように記載します。
5)細かい図面は、B5の白紙で何度も下書きをして作成します。但し、文字位置と建物を書くときの基準点などは、清書用のB4を半分に切り離した用紙で、あらかじめ位置決めします。
5)各階平面図B5と建物図面B5ができたら、清書用の用紙にプリントアウトし、微調整後、2枚を貼りあわせ、コンビニでB4コピーします。
・市販されている用紙には、左右に10個の穴があいていますが、提出時に左右に穴が開いていなくても、注意はされませんでした。おそらく穴あけ機で穴を開けてもらえるのでしょう。B4の印刷が可能なプリンタがなくても、図面ができるのはとても便利です。
さて、手続き的には、土地の不動産移転の登記と建物の表題登記を同時に出すと、法務局の方が建物を実際見にチェックされる場合は1週間、それがなければ3日前後で審査が終わります。土地に関してはこれで終わりです。建物に関しては、表題登記に続き、建物の保存登記が必要になります。
3.建物の保存登記
【必要書類】
1)申請者の住民票
2)登録免許税・・・印紙を貼った用紙
3)固定資産価格確認書・・・登録免許税の価格が正しいかのチェックのため
こちらは手続きは簡単です。登記の提出は申請者(私の場合、母親)がいなくても提出は可能ですし、委任状も不要です。しかし、受け取りの場合は、申請者が直接法務局に行かねばなりません。登記の申請書には、申請者の印を押す箇所が1箇所あり、添付書類には割り印を押す箇所がいくつもあります。登記の受け取りの場合、申請時に用いた印鑑が必要です。また、申請者の身分証明書も必要です。国民健康保険証で可能です。
すべての手続きが終わると、昔なら登記済証という書類をもらいましたは、今は「登記識別情報」という書類をもらいます。スクラッチ式のくじのように、ある文字と数字の組み合わせが書いてある部分が不透明なシールで覆われた紙です。土地や建物の売買にはこの登記識別情報が大事になるらしいです。
最後に、法務局の窓口で相談員の方が教えてくれた大事なことをひとつ。建物を建てて1年以内であれば、登録免許税は1000分の1.4になったのに惜しいね。そう、1年以降に出すと1000分の4ですので、半分以下で建物の登記ができます。建ててすぐにすれば良かったと思う反面、自分で登記をすることで、自分のルーツのことを詳しく知ることができたし、不動産登記ということ自体の意味を知ることにもなりためになったという気もします。
自分でする不動産登記ということを考えた場合、1に書籍、2に法務局の登記相談窓口、3にネットの経験者のサイトやブログ、これらがとても役に立ちます。あと大切なのは、忍耐を持って、役所まわりをしたり建築会社の方に必要書類をお願いしたりすることです。図面はパソコンを使うのでなければ、手書きでもOKだそうです。ただ、そこで作成した図面は50年くらいは謄本として公開されるので、出来にもこだわりたい方は、それなりの工夫は必要でしょう。
今後は、ネットで登記を受け付ける時代になります。申請書の書きかたも、それほどがんじがらめではなくなってきていると思います。私にとって自分で申請された登記経験者のブログやサイトが役に立ちましたので、私も恩返しのつもりで、これから不動産登記をされる方に参考になればと思い、このブログを書きました。
登記のことを調べてはじめてから、申請書を提出し、登記識別情報を得るまで、約1ヶ月かかりましたが、できたときはそれなりの達成感があります。今家を建てている方、親がなくなり土地や建物を相続された方は、是非、登記申請トライしてみてください。
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