2007年2月 5日 (月)

オルセー美術館展見たい!

夜、今日大幅に下がった日経平均株価に関する記事を見ようと日経新聞のサイトを見ていた。今週末G7があるということで今までの円安傾向が続くか、それとも円高にふれるかで、投資家たちは積極的に買いに出なかったことが、下落の一因だそうだ。

さて、マウスでスクロールしながら日経の下のほうの記事を拾い読みしていると「オルセー美術館展」というようなタイトルがあった。フランスの印象派の人の絵は好きだったので、どこでやっているのかとクリックすると、今年の1月27日から4月8日まで東京の上野の東京都美術館でやっているという。

このオルセー美術館展のTOPページの下のほうを見ると、[オルセー美術館Podcast]というボタンがあった。実際はオルセー美術館のサイトより先に、このポッドキャストのページを見つけていたのだが、”読む美術館”とか、なんとかそんあコメントが付いていて、美術なのに音声だけで何が伝わりますか!と半分馬鹿にしてクリックした。

すると、魚住りえさんのナレーションでオルセー美術館の歴史を分かりやすく説明してくれる。思わず、集中して聞いてしまった。なかなかいいのが第2回「親密な時間」だ。ルノアールやマネの生きた時代の女流画家ベルト・モリゾを中心にして彼女の描いた絵の説明をしてくれる。

内容は、見てのお楽しみということで、時間があったらポッドキャストを聞きながら、オルセー美術館展のページの「オルセー美術館展とは」(最初の絵のモデルがベルト・モリゾ、見たことあるでしょう)と「展覧会構成と主な出品作品」のページを見てみてほしい。

ベルト・モリゾは、娘のかかった風邪(インフルエンザ)にかかり死んでしまったそうであるが、彼女の死後、マネやルノアールが当時では珍しかった女流画家の展覧会を開き、成功をおさめたという点などドラマチックでヒューマンな感じがする。

4月8日まで東京でオルセー美術館展やっているということで、急に東京に行きたくなった。求めよさらば与えられん、というからしばらく東京行きを念じてみようと思う。

| | コメント (0)

2006年11月 2日 (木)

白川静さん、逝く

漢字の成り立ちを詳しく知りたいと思い、また図書館に出かけた。

Dscn16280001

(中央図書館から眺める藻岩山)

今日借りたい本はもう決まっている。白川静さんの「文字講話」だ。

今朝朝刊を見たとき、漢字研究の第一人者である白川静さんが96歳でなくなったことが大きく報じられていた。白川さんのお名前は、札幌市中央図書館の中国語の棚と同じ棚に白川さんの著書が多く並べられているので知っていた。今まで何度か漢字に関する白川さんの本を借りては来たが、実際難しすぎて読みきれなかった。

今回、阿辻哲次さんの「漢字の字源」を読み、新聞の白川さんの業績の紹介を読んで、白川さんの研究の位置付けが理解できた。それで、もう一度読んでみようと思ったのである。

漢字の成り立ちについては、後漢(AD100頃)の許慎が著した説文解字という書籍がバイブルのように扱われてきた。しかし、漢字の起源は紀元前1400年ころの殷の時代の甲骨文字に遡る。その間の1500年間のことを許慎がすべて正しく知っていたわけではない。なぜなら、甲骨文字や殷の次の周の時代に器などに刻まれた金文が発見されたのはずっと後代の1928年になってからだ。

だから甲骨文字や金文などの研究成果を踏まえて、説文解字を改めて批判検討して、より真実に近い字源の研究が望まれていたろう。だが、日本と中国の間は当時、1931年に満州事変があったように落ち着いて研究が出来るような状態ではなかった。

特に中国は清王朝から中華人民共和国ができるまでは軍閥などの割拠する不安定な時期であり中国での文字研究はあまり進められなかったと思われる。そこに登場するのが白川さんだったようだ。甲骨文字や金文を研究し、漢字の成り立ちを検証し「字統」という字書を書かれた。

Dscn16300001

仏教が発祥の地インドや中興の地の中国ではもう主流でなくなり、辺境であった日本とタイとで教えが体系化され、文化が作られた。漢字は現代中国でも使われているので、中国ですたれたとは言えないが、漢字とハングルの併用をしてきた朝鮮半島では、すっかり脱漢字になった状況を見れば。漢字の研究は日本や台湾などの端の国が進む可能性も大きい。

亀の腹の部分や牛の肩甲骨に、今年の農業は豊作か否かを文字で書いて、火にかけそのひび割れの入り方で占いを行ったことから文字の利用が始まったとされる。だから最初は文字は主に宗教行事のための道具だった。それが次第に王の政策や戦争などの意思決定を、この占いを行うことで、神の権威を借りて、人に従わせるという政治的な役目として使われるようになったそうだ。

Dscn16360001

この文字の作られ方に関して、ひとつ驚いたことがある。それは文字はだんだんと洗練され美しくなったのではなく、あるときパッと一つの様式を持った完成された書体が生まれるということである。甲骨文字も5期に分けられるそうであるが第1期の文字が最も躍動感があり美しいらしい。

そこで白川さんは言っている。「本当に強く要求するものがなければ新しものは出てこないのではないでしょうか」つまり、新たな様式が生まれるとき、その背景に最も美しいものが生まれる内的必然性があるからだろうと。

戦後の日本のように焼け野原で、ものの乏しい時代だったからこそ高度経済成長のような、皆がキラキラしていた時代があったのだということもうなずける。現在は社会的地位のある人がよく犯罪でつかまったり、TV前で頭を下げるシーンを多く見かける。子供や家族を含む事件も多い。このような暗く閉塞感のある時代には、いったいどのような新たな様式が期待されるのだろうか。やはりもっと人が人らしく生きられるような様式が求められるのではないだろうか。

漢字の字源の問題からふとそんなことを考えてしまった。

| | コメント (0)

2006年11月 1日 (水)

漢字の字源

講談社現代新書「漢字の字源」阿辻哲次著を読んだ。今まで漢字に関するいくつかの本を読んだが、中でも読んでいて一番驚きの連続だった本だった。

もう数年前から中国語の入力ソフトを作ろうとしていくつかプロトタイプも作ってきた。だが、なかなか満足行くものがなかなかできない。その理由の一つに以前ほど中国語への興味が薄れていることがある。興味が薄れているのに、なぜ作ろうとするのか?という疑問があるかもしれない。

中国語への興味は確かに薄れているのだが、漢字に対する興味はずっと持ち続けている。簡体字や繁体字、日本の漢字の違いも面白い。漢字自体の成り立ちも興味深い。ただ、今は中国の人を見つけて何かコミュニケーションをとりたいとは思っていない。以前はそうではなかったが、やはり近年の中華人民共和国の日本に対する政治、経済的な態度を見ていると、高感度指数は急低下だ。

そのようなわけで、しばらくは中国語を扱うのではなく漢字を扱うことに焦点をおいて何か面白いソフトウエアが作れないか検討し始めた。

そのような理由で今回は「漢字の字源」を読んでみた。

Dscn16140001

(「漢字の字源」と、旺文社の漢和辞典の「豊」の項目)

漢字は殷の時代の甲骨文字、ほぼ同時代の青銅器に刻まれた金文などにその原型のルーツがある。そして後漢(AD100頃)の許慎が「説文解字」という本で9300字にわたる文字の起源を説明した本を書き、この本がそれ以降の漢字研究の基礎となったそうである。

さて、面白いのが個々の漢字の成り立ちの説明だ。

1.豆

 ご存知「まめ」だが、どうみても食べる豆の象形文字には見えない。そう思っていたらこの文字は、豆(トウ)という空飛ぶ円盤に一本足の付いたような器があり、その象形文字だという。そしてその豆(トウ)の写真も載っている。

 つまり、昔は植物の豆(まめ)に相当する漢字がなかったが、この豆(トウ)と植物の豆は同じ音で発音されていたので、豆(まめ)を表記するのにこの豆の字を用いたそうである。これを、先の説文解字では仮借(かしゃ)という漢字の作り方、使われ方の方法と呼ぶ。

2.豊

 1でなぜ豆を取り上げたかというと、私の住んでいるところは豊平という地名なのだが、この豊の下に豆があるので、なぜ豆があるのか不思議だった。この豆が脚付きの器の意味であれば、器に盛られた収穫物で、豊の意味が理解できる。

 もともとこのという字も、正式にはで、たわわに実った穂の象形そのものだ。

中国語簡体字ではこの字の一部だけ取り出され、と少々寂しくなったが、現代人がカメラに望遠レンズを付けて作った文字だと思えば、まあ許せるか、という気もする。

3.色

 とても驚いたのがこの漢字の成り立ちだ。『ひざまずいた女性の後ろから男性がおおいかぶさったさまをかたどった字で「後背位」というラーゲでの性交を描いた文字である』とある。旺文社の漢和辞典をひくと、そこにも色の字になる前の文字が書かれて、同様の説明が柔らかく書かれている。

 今まで、色の字を見れば七色の虹を思い浮かべてきた私はどうしたらいいのか。これから街角で色の字を見つけてドキドキしなければいいのだが。

その他にも「からい」とか「つらい」と読まれる「辛」の字は実は入墨を入れる際の針を形どった象形文字であるなど、驚かされることがいくつもあった。

漢字の成り立ちは、先の許慎の説文解字によれば

1)象形:目に見えるものを絵画的に描く方法、例)人、火

2)指示:抽象的な概念を記号的に表す方法、例)上、下

3)会意:意味を表す要素を組み合わせる方法、 例)骨

4)形声:意味を表す要素と発音を表す要素を組み合わせる方法、 例)清

5)転注: (定説がない)

6)仮借:同音の文字を当て字として使う方法、例)豆、来

の6種類あるそうである。中国の簡体字も基本的にこれらの理論に基づいて字が定められているそうであるから、日本人に多少違和感があっても受け入れていってもいい気がする。「従」という字は、古来は人が二人同じ方向に並んでいる姿で従うの意味なのだそうだが、それが簡体字ではと、昔使われていた字に戻ったらしいので、そう考えるとどっちが本流かわからなくなったりする。

それにしても漢字の起源の話は面白い。

| | コメント (0)